高松宮殿下記念世界文化賞は、日本美術協会によって1988年に創設されました。
絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、
世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与されます。
国境や民族の壁を越えて全世界から選ばれた受賞者は、
私たちの時代の文化芸術を代表する方々です。
受賞者たちのプロフィール、作品、そして世界文化賞の詳細についてご紹介いたします。

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The 36th
Laureates(2025)

第36回 2025年度 受賞者

絵画部門

ピーター・ドイグ

彫刻部門

マリーナ・アブラモヴィッチ

建築部門

エドゥアルド・
ソウト・デ・モウラ

音楽部門

アンドラーシュ・シフ

演劇・映像部門

アンヌ・テレサ・
ドゥ・ケースマイケル

絵画部門

Peter Doig

ピーター・ドイグ

1959年4月17日、イギリス・エディンバラ(スコットランド)生まれ
 現代絵画の一潮流「新しい具象」の画家。英国のロンドン芸術大学で絵画を学んでいた1980年代当時、最も流行していたのは抽象絵画だが、「そうした表現方法には強く反発していた」。写真や絵はがき、映画などから得たイメージや過去の記憶をもとに豊かな色彩と独特の筆致で風景や人物を描く。作風は神秘的で、現実と非現実が入り交じった「魔術的現実主義」とも呼ばれる。幼少期をカリブ海に面した中米トリニダード・トバゴで、少年期を雪の多い北米カナダで過ごした。その体験が「私の絵画に大きな影響を与えた。素晴らしいインスピレーションの源になっている」と語る。どの作品も長い揺籃期を経て生まれ、「私の絵は自分の人生と深く結びついていると感じる。旅のようなものだし、自分が生きて来た人生そのものだ」。2020年に日本で初となる大規模個展が開催された。

Painting

彫刻部門

Marina Abramović

マリーナ・アブラモヴィッチ

1946年11月30日、セルビア(旧ユーゴスラビア)ベオグラード生まれ
 アーティストが自らの身体を使って表現し、時に観客も作品の一部となる「パフォーマンス・アート」の先駆者。肉体と精神の限界に迫る過激な表現に挑戦しながら、芸術の本質を追い求めてきた。ユーゴスラビア(現セルビア)出身。観客に自身の身体を委ねた《リズム0》(1974年)では銃を頭に突き付けられるなど、何度も命を落としかけたが、心身の限界に挑む自己表現が世界中の観客を魅了してきた。2010 年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で行った《The Artist Is Present》では、計700時間以上座り続け、無言で観客と見つめ合うパフォーマンスを展開。同館の観客動員記録を更新した。現在はニューヨークに拠点を置き、ロバート・ウィルソン(2023年世界文化賞受賞者)、歌手のレディー・ガガらとも協働。三島由紀夫作品を愛読し、日本文化には特別な思い入れがあるという。

Sculpture

建築部門

Eduardo
Souto de Moura

エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ

1952年7月25日、ポルトガル・ポルト生まれ
 ポルトガル建築界の第一人者。アルヴァロ・シザ(1998年世界文化賞受賞者)に師事し、1980年に独立。「普遍的な建築はなく、すべてはその場に根差している」と、時代や空間と合致した建築に取り組んできた。素材も場所や現地の文化事情を考慮に入れて決定する。代表作は、旧修道院を改修した国営ホテル『ポウザダ・モステイロ・デ・アマレス』(1997年)、市営競技場『エスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガ』(2003 年)、『ポーラ・レゴ美術館』(2009年)など。2011年プリツカー賞。2018年ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞。2024年、フランスの芸術文化勲章を授与された。世界各地の建築学校で教壇に立ち、後進の育成にも努める。現代の建築に必要なのは「今ある問題の解決」と指摘し、エ

Architecture

音楽部門

András Schiff

アンドラーシュ・シフ

1953年12月21日、ハンガリー・ブダペスト生まれ
 現代における最高峰のピアニストの一人。5歳からピアノを始め、ブダペストのフランツ・リスト音楽院で学び、さらにロンドンでチェンバロ奏者、ジョージ・マルコムに師事した。バッハ、モーツァルトらをレパートリーとし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲によるリサイタルも行った。ピアニストという職業の孤独を感じながらも、それを乗り越えて音楽の可能性を広げようと、1999年に自身の室内オーケストラ「カペラ・アンドレア・バルカ」を設立。「指揮をすることで視野が広がる」とオーケストラの指揮もするなど、ピアニストにとどまらない音楽家として幅広く活躍。「音楽家であることは職業ではなく特権だ。すばらしい音楽を人々と分かち合いたい」と話す。後進の育成にも熱心に取り組んでいる。2014 年、英国よりナイト爵位を授与。夫人はヴァイオリニストの塩川悠子。

Music

演劇・映像部門

Anne Teresa
De Keersmaeker

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル

1960年6月11日、ベルギー・メヘレン生まれ
 ベルギー出身の振付家・ダンサー。1983年に設立した自身のダンス・カンパニー「ローザス」の芸術監督として、1980年代以降の世界のコンテンポラリー・ダンス界を牽引。モーリス・ベジャール(1993年世界文化賞受賞者)創設の舞台芸術学校「ムドラ」やニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・ジ・アーツでダンスを学んだ。帰国後、スティーヴ・ライヒ(2006年世界文化賞受賞者)の音楽に基づく『ファーズ』(1982年)で注目される。音楽と動きの構造的関係を追究し、ミニマル音楽、クラシック、ブルースなど幅広い音楽と対話。歩行など日常動作を抽象化し、身体と知性を融合させる創作で知られる。代表作は『レイン』(2001年)、『EXIT ABOVE 』(2023 年)など。日本とも縁が深く、細川俊夫作曲のオペラ『班女 Hanjo』(2004年)を演出。ブリュッセルに舞台芸術学校を設立し、後進の育成にも尽力している。

Theatre/Film

The 28th
Grant for Young Artists(2025)

第28回 2025年度
若手芸術家奨励制度

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    2025.7.15

    【報道関係の皆様】2025年広報用素材のご利用に関して

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    2025.7.15

    第36回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表 / 第28回若手芸術家奨励制度 発表

  • 2025.7.1

    2025年 第36回 受賞者発表は7月15日

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